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〈wagayoのひとびと〉さかもと むつみ

坂本さん・メイン画像

これから、ながよ光彩会やみんなのまなびばみ館に関わる人たちを記事で紹介していきます。企画の第1弾は、特別養護老人ホームかがやき(以下、かがやき)で働く坂本睦美さん。2児の母でもある坂本さんは、いつも明るいムードメーカーで周囲を笑顔にしてくれる存在です。

しかし取材を通して見えてきた、意外な一面も……? 坂本さんが今でも覚えている原体験や、高校時代のターニングポイントなどをお聞きしました。

実は、元々人付き合いがニガテ? 坂本さんの他人との向き合い方

坂本さんはながよ光彩会に入社後、産休・育休を取得したのちにかがやきのスタッフになりました。現在は小規模多機能(以下、小多機)を担当しており、その前は特養を1年間ほど担当していました。坂本さん曰く「性に合っているのは特養なんです」とのこと。

坂本「小多機はお喋りしながら手作業をやってもらったりして、利用者さんの『〇〇がしたい』を叶える感じ。反対に、特養は寝たきりの方が多いので、『〇〇がしたい』といった明確な意思表示はあまりないんです」

特養は利用者さんの看取りをすることもあります。小多機などと比べると、利用者さんと直接的なコミュニケーションを取ることが難しいため、ご家族から聞いたことを元に利用者さんに寄り添うのだそうです。かつて坂本さんが夜勤に慣れてきて間もない頃、初めて看取りをした利用者さんとの思い出が今でも心の中に残っていることなどを教えてくれました。

ーコミュニケーションを活発に取れるほうが、坂本さんにも合ってそうな気がしますが……?

坂本「私、元々あんまり話すのが得意じゃないんです。こう見えて(笑)今はもう慣れたのでなんてことないですが、大勢の人の前で体操の指示とかレクレーションをやったりするのが苦手で、だから最初は特養を選んだんですよ」

坂本さん・施設内で利用者さんと会話する様子

坂本「特養では、1回のおむつ交換もそれが最後になってしまうかもしれない。だからこそ、1つのコミュニケーションや1日の重みが違ってきます。もちろん今の小多機も、毎日が大事ですけどね。『この人は今何を求めているんだろう?』ってよくジーっと観察します(笑)」

気さくでおしゃべり上手な雰囲気のある坂本さんですが、元々コミュニケーションは得意ではないという意外な一面も……!しかし反対に、相手のことをじっくりと考えて丁寧に向き合うことにやりがいを見出しているようです。

“悪ガキ”だった高校時代

坂本さんの学生時代についても伺ってみました。

坂本「小・中学生まではお利口さんでしたね。でも高校からは、クラスで一番の悪ガキでした(笑)勉強しない、態度悪い、バスケ部もちゃらんぽらん。バカやってましたね〜」

坂本さん・テラス席で

ー小・中学校から高校に入った時に、何か変わるきっかけがあったんですか?

坂本「友達の影響が大きいですね。元々は暗い性格だったので、親も高校でいじめられないかなって心配してました。入学したての頃は1人でポツーンといたんですけど、口にピアスを開けたちょっと怖そうな子から話しかけられたんです。『櫛貸してくれん?』って。怖かったけど、『いいよ』って貸してあげたら『ありがと。今日からうちらダチね』って言われて(笑)」

次第に、その人の周りの友達からも話しかけられるようになり、坂本さんは明るくなって友達も増えていったそうです。その人が話しかけて来なければ、そして周りの友達が坂本さんの明るさを引き出してくれなければ、今も坂本さんは大人しい性格のまま。仕事も人と接する介護福祉ではなく、事務職などを選んでいたかもしれないそうです。

坂本さん・利用者さんとテラス席で

ーそんな学生時代の武勇伝はありますか?

坂本「うーん、武勇伝?自慢話みたいなことですよね……。あ、学校一のバカだったけど、就職は一番に決まりました!面接が得意で、大人に対しても緊張しないし、聞かれたことにスポーンと答えられたんですよね。そしたら、福祉コースの中で誰よりも先に一発で決まっちゃいました(笑)」

今の職場には先輩が多く、年上の人に囲まれている環境で、坂本さんが明るく振舞えていることのルーツが見えた気がしました。やんちゃな高校時代を送った坂本さんも、先日母校で講話をする機会があったそうです。当時の姿を知っている先生から心配されつつも、坂本さんの成長ぶりに驚いていたようでした。

コミュニケーションの根っこにあるのは、「人間観察」

坂本さんの明るさやコミュニケーションの取りやすさには、高校時代のターニングポイントと元々の気質が関係しているようでした。

坂本「私、“人間観察”が好きなんですよね。なんかもう癖になっていて、普段からお店の中とかでもよくやっちゃうので、家族から『見過ぎ!』って怒られたりします(笑)職場でも利用者さんが今何考えてるのかなって観察しながら仕事をしていますね」

なるほど、“人間観察”が好きなのであれば、他人と接する仕事は楽しんで取り組むことができそうです。また、お互いのことを深く理解し合える関係性にも発展することも。

坂本さん・テラスで利用者さんと

坂本「たまに、利用者さんと2人で散歩に出かける機会もあるんですけど、そういう時間は大切にしています。大勢の人たちの前だと話さないようなことや、昔どんな仕事をしていたのかなどを教えてくれたり。少し暇を持て余してそうな感じに見えたら、散歩に誘ってみるといろんなお話ができますね」

常に利用者さんや職員の様子・表情・雰囲気を見ながら、相手の気持ちを汲み取った行動を心がけている坂本さん。坂本さんとのコミュニケーションを通して、自分らしさを表に出すことができる人がかがやきの中で増えていきそうな気がしました。

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