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みんなのまなびばみ館のこと

はじめまして、みんなのまなびばみ館です!

長崎県西彼杵郡長与町(にしそのぎぐんながよちょう)。ここは人口4万人ほどが暮らすまち。県庁所在地の長崎市と隣接しながらも、豊かな自然に恵まれていて住みやすいと人気のまちです。まちのおもな産業は農業。年間を通して様々な果樹栽培がおこなわれています。中でも対馬暖流の潮風に吹かれて育ったみかんは甘くて果汁たっぷりと評判の名産品です。長与ではみかんは買うものではなく「あるもの」。無人販売もそこかしこにあり、収穫したばかりのみかんがたっぷり入って一袋100円。そんな長与のみかんが都会で仰々しく売られているのを見てびっくり! なんていう町出身者の話も聞いたことがあります。

そんな長与のまちの中心に、お年寄りが暮らす施設「グループホームながよ」はあります。ここ数年倉庫となっていたその建物の一階部分をこのたび大々的にリノベーションし、新しく「みんなのまなびば み館」として2020年7月から地域のみなさんに開くことにしました!

大きな引き戸型の窓を全面開放すると室内と外のテラスとがひと続きになって、気持ちいい風とあたたかな日差しが差し込みます。ここで行われるのは、「ひととまちとくらしの学校」プロジェクト。生け花が得意なおばあちゃんがこどもたちとお花に親しんだり、魚をさばくのが得意な中学生が大人たちに包丁さばきを教えたり、赤ちゃんが小学生に「How to 俺の世話」を身をもって体験させてくれたり…。みかんのまちらしく、「みかんの皮むきアート選手権」なんていうのも立派なイベントになっちゃいます。年齢や資格、住んでいる場所や国籍にかかわらず、誰もが先生にも、生徒にもなれる学校です。

私たちの取り組みは「くらし」を考えることから始まりました。くらしというのは本来ちいさな偶然とハプニングに満ちているはずですよね。買い物に出てみたらカーニバル(※長与のおいしいお肉屋さん)でひき肉が安売りだったから今夜はハンバーグに変更! とか、急に雨が降り出しちゃった! とか。

一方施設に暮らすおじいちゃんおばあちゃんの日常はというと、昨日とおんなじメンバーと過ごす、昨日とあまり変わらない今日だったりします。それは「安定した暮らし」でもあり、大切なことではあります。でももしそこに色んな登場人物が現れて、ちいさなハプニングがポップコーンみたいにぽんぽん起こり続けたら、暮らしはもっと楽しく彩り豊かになることでしょう。

それが、私たちが介護施設でこんな取り組みを始める理由のひとつです。そこで起こる偶然やハプニングを、たまたま居合わせた誰かと一緒に楽しめる場所。それが「みんなのまなびば み館」です。

現在み館はプレオープン中。小さなイベントを小さくやってみています。この日は竹灯り作りをしました。電動ドリルを使って竹に穴を開けています。みんながわいわい作業している様子を、学校帰りのこどもたちが興味深そうに覗いています。「こんにちはー!」と元気な挨拶をしてくれる、すばらしき長与っ子たち。

「何しよると?」「今度それ、私にもやらせてね!絶対ね!」そう声をかけてくれるこどもたちが集まる場所に、当たり前のように車いすのおばあちゃん、認知症のおじいちゃんがいます。もしかしたら最初は戸惑うかもしれません。でも優しく接する介護福祉士の姿を見て、ちょっとマネしてみるかもしれません。そんなこどもたちがまちへ出て、車いすの人や困っているお年寄りを見かけたとき、そっと手を差し伸べられる子に育ってくれたら…。想像するだけでPC画面が涙でにじみます。

そう、ここでイベントを行う理由は、そんな彩あるくらしのための、きっかけ作りです。いつの日か長与町が「どこを見ても優しさがあふれているまち」になっていることを夢見て、私たちの小さな挑戦が始まります。

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