私の理想のライフスタイルを送る。長与の自然に囲まれた発酵食品のお店
長与町の中心住宅街から少しだけ離れたあたり。自然豊かな斉藤郷に佇む、とある一軒の民家がありました。木の板に「どうぞ」と一言だけ掲げてあり、扉をガラッと開ければ、広々とした土間とリビングが待っています。ここは、田口千穂里さんが営む〈麹屋kinomama〉。ゆっくりと時間をかけて発酵食品を作る「麹」のお店です。
どうしてこの場所でお店を開いたのでしょうか?田口さんと発酵食品の関係について、伺いました。
「発酵」を気のままに、生(き)のままに。
〈麹屋kinomama〉は、販売店舗であると同時に、田口さん一家が暮らす住まいでもあります。まさにここ斉藤郷で、リノベーションできる物件を探していたという田口さん。生活や買い物にも困らず、家同士の間隔が離れて暮らすことができる心地よい距離感を求めていました。
ー「発酵食品は、人がいないと寂しくなってしまうんです。また、酵素をたくさん持っている「麹」は、温度管理が大切。常に生活を共にしているので、住まいと切り離してはいません。人の気配とか、気の流れが関係しているんですよ。」
そう語る田口さんからは、自分たちが作るものへの愛情が感じられます。作り手が持ち合わせている常在菌や、その時の気分・感情の起伏によっても、味が変わってくることがあるのだとか。
ー「お店の名前も、そこから来ていて。熱に弱い酵素も、生(なま)のまま美味しく食べられるように。もっと自然体で、気のままに発酵食品を暮らしに取り入れてほしいと思っています。」
もっと自分らしく働き、生きるために、転職。
田口さんの前職は、作業療法士でした。幼い頃から、心と身体の健康について考えることが好きだったという田口さん。健康のためにと目指した作業療法士でしたが、違和感や肩身の狭さを覚えていました。
ー「頑張っても頑張らなくても給料は同じ。眠れない・食べられない患者さんを投薬だけで解決しようとする。様々なことに悶々としていました。自分の生活も忙しく精一杯な日々で、私の理想とする暮らしからは程遠くて。顔中ニキビだらけだったり、休みの日を指折り数えたりいました(笑)」
そこから、まずは自分自身が考える理想の暮らしを実践していこうと決心。7年勤めた仕事を辞めて、2019年にお店をオープンさせました。
ー「病院にいた頃は、変な人だと思われちゃうんじゃないかって、自分の考えやこだわりを出せずにいました。でも今は、私が勉強したことを誰かに伝えられることがすごく嬉しいんです。周りに理解してくれる人はいないって思っていたけれど、いざ発信をしてみれば、同じ考えの人がこんなにいたんだって。」
本来の自分を出せずに隠していた時より、のびのびと自分らしく生きることができているという田口さん。長与での暮らし、家族と過ごす時間、自分自身がやりたいこと。気のままに生きる麹屋さんが手がける、こだわりの発酵食品を味わってみてください。
店名:麹屋kinomama
住所:長崎県西彼杵郡長与町斉藤郷181-2
TEL:090-2085-5448
営業時間:不定(事前の連絡をオススメします)
定休日:不定休
お店の情報はInstagramでチェック
〈麹屋kinomama〉は「2021 ART Walkig in NAGAYO」の協力事業所です。