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〈ART Walking in NAGAYO〉 山村商店

山村商店・メイン写真
地域の子どもを見守る、まちの駄菓子屋さん

皆さんが子どもの頃、地元に駄菓子屋さんはありましたか?小学校の下校途中にこっそり寄り道をして帰ったり、友達と遊ぶ時の集合場所にしたり。子どもながらに、お店で買い物ができる喜びを味わっていた気がします。

長与町にも、そんな昔懐かしい地域の駄菓子屋さんがあるのです。近所の小学生も通う〈山村商店〉。店主・山村さんが教えてくれた、駄菓子屋さんならではのエピソードをご紹介します。

山村商店・外観
外からは一見分かりづらい雰囲気。
千円札を握りしめてやってきた男の子

お店の中は子どもが4〜5人、大人は2〜3人が入る程度の広さ。その小さなスペースに、駄菓子、文具、プラモデル、アイスクリームなどの商品がずらりと並びます。

山村商店・店内
子どもはもちろん、大人もワクワクしちゃう夢いっぱいな空間です!

ある時、ミニ四駆がとても流行ったことがあったそう。子どもたちは、ミニ四駆を買うために、こぞって小銭を集めてお金を貯めました。

そんな時に、常連の男の子が千円札を持ってやって来たことがあったそうです。小銭ではなく、千円札を持っていることを不審に思った山村さんは、「お母さんの財布から黙ってこっそり持って来たんじゃないの?」と聞きました。しかし、「ちゃんとお母さんがくれたんだよ」と男の子は答えました。

ー「でもね、面白かとよ。成人式の日に、その子がまたお店に来てね、謝らんといけんことがあるって。あの時、実はおばちゃんの言う通り、お母さんから黙って千円札を抜いて来とったとよって、わざわざ伝えに来てくれたのよ。」

山村商店・山村さん
その子に対して、「えらいね、大人になったね」と優しく受け止めたそうです。

思い出の場所でもあり、大きくなってからまた帰ってこれる場所でもある〈山村商店〉。子どもたちと山村さんとの関係性が垣間見えるお話です。

親や友達に聞けないことを教えてくれるおばちゃん

他にも、そんなエピソードはたくさんあるのだそう。仕事にも行っておらず家にいるのに、何故かお金をたくさん持っているおじいちゃんが、実は泥棒なんじゃないかと不安に思っていた男の子。誰にも聞けない生理の話を、おばちゃんが話してくれたことに、とても救われたという女の子。嬉しそうに山村さんは教えてくれます。

ー「男の子には、年金をもらってるんだと思うよ、お父さんに聞いてみなさいって教えてね。そしたら、おばちゃんの言う通り、おじいちゃん泥棒じゃなかった!よかった〜…!って安心しててねぇ(笑)そんな姿が可愛いなぁって。」

山村商店・内観と山村さん

今でも、子どもの頃にお店に通っていた人が大人になり、親となって子どもを連れて来てくれるそうです。

ー「子どもが相談してくれた時とか、大人になってからでもそんな話を聞かせてくれた時にはね、私もあ〜お店をやっててよかったなぁって。ちゃんと対応できてよかったなって思うわね。」

家でもなく、学校でもない、地域のおばちゃんだからこそ相談できることがある。いけないことをしたら、叱ってくれるおばちゃんがいる。長与町にも、そんな子どもたちの小さな拠り所がありました。

山村商店・子どもが買い物をする様子

店名:山村商店
住所:長崎県西彼杵郡長与町吉無田郷2032-3-101
TEL:095-883-3105
営業時間:不定
定休日:不定休

〈山村商店〉は「2021 ART Walkig in NAGAYO」の協力事業所です。

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