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日常に人とのふれあいをもう一度。〈ART Walking in NAGAYO〉をふりかえる

寺井さん・メイン画像
「ART Walking in NAGAYO」の中心メンバー・寺井さんに聞きました。

2021年11月1日〜30日の1ヶ月間で実施した「ART Walking in NAGAYO」。毎年長与町で開催されていたウォーキングイベントは、みんなのまなびば み館の企画・運営により、本年も盛況に終わりました。ご参加いただいた皆さま、協力事業者の皆さま、ありがとうございました。

イベントの様子については、こちらの動画をご覧ください!

さて、このウォーキングイベントの雰囲気や魅力を感じ取っていただいたところで、さらに一歩踏み込んだ主催側の背景についてご紹介していきたいと思います。中心となって企画・運営に携わったみ館スタッフ・寺井小夜子さんに、今回のウォーキングイベントの振り返りインタビューを実施。なぜみ館が長与町の地域事業に手を挙げたのか、実施したことでどんなことが起こったのか、お話を伺いました。

1ヶ月で約700人が長与のまちを探検!

アートウォーキング イン ながよでは、「ARTカレンダーコース」と「おべんとうコース」の2種類のコースを用意していました。総合的な推定参加者合計は、なんと700人以上!長与町民はもちろん、町外、県外からも足を運んでくださいました。

アートウォーキング参加者の様子

「ARTカレンダーコース」年代別の参加率は、多い順に60代(15.5%)、40代(13.7%)、30代(13.4%)という結果に。シニア世代の積極的な参加だけでなく、ファミリー層とも重なる30代・40代の方が多く、幅広い世代に楽しんでいただけました。

「おべんとうコース」では、9歳以下(20.8%)、30代(17.5%)、40代(16.7%)の参加者が多いという結果になりました。お子さん連れのファミリー層を中心にたくさんの参加お申し込みをいただきました。

まちを知る、まちと繋がるための「はじめの一歩」に

今回のウォーキングイベントを作り上げていくにあたって、どんなことを意識して取り組んだのでしょうか。

ー「健康のためとはいえ、ただ歩くだけって楽しいかな?って疑問を持ったんです。どうせなら、“探検”をテーマにワクワクしながらまちを歩いてもらいたくて、私たち自身がちょっと気になっていた素敵なお店に声をかけていきましたね」

そうそう、今回は「まちを探検する」がテーマでした。大人も子どももワクワクする言葉ですよね!

ー「それと、私が子育て世代なので、週末どんなイベントだったら参加したいかなって考えてみて。やっぱり、“ご飯を作らなくていい”のは魅力的だな、と(笑)それでいて健康になれちゃう!みたいな、たくさんのハッピーを詰め込んだのがおべんとうコースでした」

寺井さんトーク風景

参加者の皆さんは、ウォーキングを通してまちの魅力的なスポットをめぐることができたのではないでしょうか。参加者の声や、アンケート結果などで印象的だったことを聴いてみました。

ー「参加者からは、気になっていたお店に初めて入ることができた、という声が多かったです。協力事業者さんからは、今後もみ館と積極的に関わっていきたい、と仰っていただくことができて、すごく嬉しいですね。皆さんにとって、今回のウォーキングイベントがみ館やまちを知るためのファーストステップになったのかなと思います」

普段は自分のお店のことで手一杯だとしても、み館をハブにすることでまちと繋がるきっかけを提供できる。そんな手応えを感じたという寺井さん。また、長与に根付いてお店を営む若い経営者が、地域のために動いてくれる姿を発信できたのも成果の一つでした。

ひとと関わることで寺井さん自身が気付いたこと

寺井さんは、今回のメインビジュアルやアートカレンダーのイラストデザインも手掛けました。

アートカレンダーの制作風景

ー「各店舗のカレンダーを制作するにあたって、そのお店のことをすごく考えました。SNSの投稿をひとつ見ても優しさがにじみ出ていて、ああ、これがこのお店が愛される理由なんだなぁって見えてきたり。あと、ブティックのロワールさんが、私があしらった音符のデザインを汲み取って、わざわざカレンダーを譜面台に置いてくださったり。お互いに想いを汲み取りあっているような関係性がすごく嬉しかったですね」

寺井さん自身も、今回のプロジェクトやお店への取材を通して、そのひとの素敵な部分を知ることができたと言います。そして、想いが通じる場面に出会うこともあったのだとか。

ー「参加者の同世代のママさんに、アートカレンダーや制作に込めた想いを見て、本当によく頑張りましたねって声をかけてくれて。本当にその一言で救われました。期間中、いろんな人に支えてもらったし、生きるパワーをもらいました…!」

アートカレンダーの説明風景
地域にふくしをひらく。みんなの困りごとが集まる場所へ

今回、改めて他人と関わることの大切さを感じたという寺井さん。社会福祉法人が地域事業に参画することの意義が見えてきました。

ー「多世代が参加しやすいように工夫をしたつもりでしたが、やっぱりたくさんの課題が出てきました。ただそれも、イベントを通していろんな世代から意見を聞けたからこそなのかな、とも思っていて。そんな“顔が見える”イベントになって良かったです」

QRコードで読み込むシステムも、高齢者にとっては分かりにくい仕様だったようです。また、お店の中に入っていかないとカレンダーを取れないところも。反省点や改善すべき点はたくさんありました。そんな中でも寺井さんは、やはりこのウォーキングイベントを実施できてよかったと言います。

寺井さんのトーク風景

ー「コロナ禍だからこそ、人との繋がりの尊さを再認識できるイベントにしたかったんです。いま何をするにしても一歩が踏み出せないというか、ついセーブしちゃってる空気があると思うんですよね。でも分からないことがあれば、お店の人に聞かないと次に進めない。そんな時に、子どもでもお店の人に話しかける練習になるし、コミュニケーションが取れると思うんです。そんな“当たり前の日常風景”を、少しでも取り戻したいですね」

「誰1人取り残さない」ことを目指すのは正しい在り方ですが、社会の中ではどうしても何らかの障壁が出てきます。仮にそんな状況になったとしても、できないこと・分からないことを他人に頼ることができる空気づくりも大切なのではないでしょうか。

み館の入り口がスロープではなく階段になっているのは、移動が難しい人に対して手を差し伸べてほしいから。そんな風景を当たり前にしたいという想いが込められています。

人と関わりたくても距離を保たなければいけないこの世の中で、今回のイベントを通して、み館や長与のまちの各地で「人と関わってもいいんだよ」と肯定してくれる空気を感じました。

み館の入り口

み館が気になっていたけど今まで足を運ぶ機会がなかった人は、今回のウォーキングイベントで一度訪れるきっかけになったのではないでしょうか。まちの困りごとや、何か力になりたいけど方法が分からない人が、自然と集まってくる場所へ。みんなのまなびば み館は、ふくしを開いてまちの人たちと繋がっていきます。

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