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〈まちのひとびと〉 なかやま じゅんこ お気楽茶道きょうしつ

アナウンサーを目指して臨んだ就職面接で大ピンチ!

テレビが普及し始めた頃、元NHKアナウンサーの下重暁子さんを見てそんな職業があることを知りました。東京の短大に進学し、アナウンサーを目指してNBC(長崎放送)の面接を受けに行ったんです。
それまでお化粧なんてしたことがなかった私でしたが、この日は初めてお化粧をして臨みました。
ところが化粧品が肌に合わなかったのか「何だかかゆいな」と思っているうちに、顔が真っ赤に腫れ上がってしまったんです。
でももう逃げられません。その顔のまま面接室に入ると、真ん中に座っていた男性……のちに社長だと分かったんですが、その方から開口一番「その顔はどうしたんだね」と尋ねられました。
「どうしてもNBCに入りたくて初めてお化粧をしたら、かぶれてしまいました……」
泣きたい気持ちで正直にそう伝えると、社長をはじめズラリと並んだ面接官が大笑い。もう終わった……と絶望的な気持ちで面接室をあとにしました。でも思いが通じたんでしょうか、念願のNBCに入社できたんです。

当時は結婚すると退社するのが一般的な風潮でしたからやがて結婚を機に辞めることになってしまったのですが、このとき「アナウンサーになるには色々な教養を身に付けておいた方がいいかな」と思ったのが、茶道を習い始めたきっかけです。

茶道は「おもいやり」の文化

お茶会をするときは色々なものを準備します。茶花や掛け軸、お茶碗の柄ひとつとっても、「今日はこんな会にしたい。喜んで頂けるかな?」とお客様の喜ぶ顔を思い浮かべ、相手に合わせて選びます。
作法に関しても、最初は「型にはまった動きにどんな意味があるんだろう」と思っていたんですが、すべてお客様をもてなす側、おもてなしを受ける側の双方の思いやりが「作法」という形になっているのだと気付きました。
作法と言うと「難しそう」と拒否反応を示す方もいらっしゃるかもしれません。だから私はまずはおいしいお茶とお菓子を頂き、楽しいなという感情が興味の入口になったらいいなと思います。

茶の湯とは ただ湯を沸かし 茶をたてて 飲むばかりなることと知るべし

千利休の残した言葉で、「茶道の本質は結局のところお茶を飲むことだけ」という意味です。茶道を極めた利休さんが最終的に行きついた結論がそんなシンプルなことだなんて、面白いですよね。
「認知症だって車いすだって、デニムにTシャツでもいいじゃない。みんなで楽しくお茶しましょ」
み館ではそんな気持ちで「お気楽茶道きょうしつ」をやらせて頂いています。まずは知ることが大切なので、最初のハードルはうんと下げたいと思いますね。

み館での「お気楽茶道きょうしつ」について

先日、施設の利用者さんが参加してくださったんです。言葉は発されないんですがお茶とお菓子を召し上がるととても嬉しそうにずっとニコニコ笑顔を見せてくださって、みなさんもつられて笑顔になってしまいました。こんな感情が引き出されるなんて素敵だなと思います。それにもしかしたら認知症予防にもなるかもしれないですね。

この前私、とっても感激したんです。偶然にそこに居たこどもたちが「何をしてるの?」と駆け寄って見に来ました。「茶道って知ってる?」と尋ねると「知らなーい」と。
「じゃあ今日は、お菓子もあるから特別にやってみましょうか。そのかわりみ館のお手伝いをしてね」と言うと、「ハイ!」ってはりきってくれてね。
それまでハンモックや床に寝転んでくつろいでいた子たちの姿勢がしゃんと伸びて、お菓子の頂き方と、それに込める相手への思いやりを学んでくれました。お互いにお茶を点てて、苦い~と言いながらも「こんなおいしいお菓子初めて食べた」と目はキラキラしていて、かわいくてかわいくて涙が出そうでした。
もしかしたらこの子たちの中から興味を持って日本文化を継承してくれる子が現れるかもしれない。この子たちが初めて茶道に触れる機会がここなんだと思うと、こちらも背筋が伸びる思いでした。

年齢を重ねて、「世の中に恩返ししたい」と思うようになった

この年になると、本当に一日一日衰えを感じるんです。私は今、人生の恩返しをする段階にきているんだなと感じています。
お茶の世界というのは知れば知るほど奥深くて、私の知識や技術なんてまだまだ大したことありません。
でももし私が持っている経験が誰かのお役に立てるのなら、ありがたく何かさせていただければと思っています。

長与のまちのココが好き!

シシングハーストのアフタヌーンティー。お庭でそよ風に拭かれ、植物を眺めながら過ごす時間が好きです。

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