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〈wagayoのひとびと〉はらだ たつお / 障がい者福祉事業「GOOOOD」始まります。

原田さん メイン写真 仮

ながよ光彩会は2022年6月23日より、各分野ごとの理事が就任した新体制になりました。

その中で、「障がい者福祉事業」と「介護のしごと魅力発信事業」を担う、原田竜生さん。ながよ光彩会が新たに取り組む障がい者福祉事業「GOOOOD(グッド)」の立ち上げ・マネジメントに携わっています。

障がい者福祉事業の舞台となる予定の長与駅のプロジェクトに関する記事「まちのこまりごとに、私たちができること」も併せてご覧ください。

今回の記事では、プロジェクトが今どのように進んでいるのかや、原田さんが今まで取り組んできた福祉・感じている課題をご紹介します。

障がい事業のために発足したプロジェクトチーム

この事業では、以下のような目標を掲げています。

●「障がい当事者が社会を支えるモデル」
●「SDGsの考えを基盤にした社会の循環の仕組み」
●「障がいの有無に関わらず人との出会いが生まれる環境づくり」

グッドのデザイン
グッドのステートメント

また、大きな特徴としては、以下のことが挙げられます。

・職員や障がい当事者の「得意なこと」を活かすこと
「障がい者福祉」「高齢者福祉」を混ぜること
「地域が集う場(かがやき、み館、長与駅)」を活動拠点として活用すること
「まちの困りごと」を事業内容に活かすこと

現在は、障がい者福祉事業を一緒に取り組むメンバーでチームをつくり、どんなモノやコトが事業になりうるか、トライ&エラーを繰り返している最中です。

障がい事業チーム

チームの構成は、大きく「かいはつ」・「トレーニング」・「つくる」・「とどける」の4班に分かれます。

●かいはつチーム:障がいのある利用者に取り組んでもらう作業内容を考え、企画します。こんな作業を取り入れたらどうか、こんなものを作ったらどうか。職員の得意なことを活かして、メンバーで話し合いながら活動を開発します。

木材の加工作業・開発の様子

●トレーニングチーム:かいはつチームが考案した作品や商品を多様な当事者が制作するには、どのような工程を組むか考えます。その役目を担うメンバーは、リハビリのプロだからこそ。利用者さんが無理なく、楽しんで作業に取り組んでもらうために、さまざまな工夫を凝らします。また、障がい事業と合わせて高齢事業でも取り組めるものがないか検討を重ねています。

つくるチーム:トレーニングで組み立てた作業工程を障がい者福祉事業と高齢者介護事業の対象者に指導します。

かがやき 木のやすりがけの様子

とどけるチーム:完成した商品については、長与駅、み館、キッチンカー、WEB上での販売などを行います。

障がい事業 もく み館で届けるイメージ

チームの基本的なコンセプトは、職員の「自分の好きなモノ・得意なコト」を生かすことです。

デザインセンスに溢れる人、コーヒーを淹れることが大好きな人、料理が得意な人。個性豊かなメンバーがチームの中で活躍しています。

奈良崎さん コーヒーの講座の様子

また、今回の事業を通して、初めて障がい者と接するメンバーがほとんどです。理解を深めるために、他施設の現場に視察へ赴くことも。職員が利用者に対してどのような声かけをしながらコミュニケーションを取っているかなども参考にし、学んでいる様子。

何よりも、皆が真剣になって事業と向き合い、お互いに「それイイね!」と称賛をし合いながら楽しくプロジェクトを進行させています。

コンセプトは、「得意を伸ばして、いかしあう」
JR長与駅の外観

これから始まろうとしている「GOOOOD」の事業。長与駅の一部業務や、コミュニティホールでの企画展示、イベントの開催などを計画しています。

もし仮に、障がい者の方に駅構内の清掃業務をやってもらうことになった場合、それはとても価値のあることなのだと原田さんは言います。

なぜなら、駅というたくさんの人が行き交う場所で働くことができるから。

JR長与駅のホーム

人前に出る仕事も、裏方の仕事も、好きなほうに進むことができる。そんな選択肢は誰もが持ち合わせており、それが当たり前な社会へ。

清掃という一つの仕事をとっても、「まちの人々とふれあえる環境で働きたい」という当事者がいれば、多くの人から感謝の声をかけられたり、「自分の仕事はたくさんの人に役立っている」と実感してもらえたりする環境を提供したい。

JR長与駅の改札口

「GOOOOD」のコンセプトは、「得意を伸ばして、いかしあう」。スタッフも、地域の人も、施設の利用者も、みんなが個性を輝かせて、可能性を広げてほしい。一つの法人の中でより多くの選択肢が選べる環境づくりこそ、GOOOODが実現したい未来です。

そんな当たり前のことを積極的に肯定したいという気持ちが、原田さんを強く動かしています。

原田さんのもうひとつの顔。“FID”バスケットボールチームのコーチ

私たちが気付きにくい、マイノリティの人々が置かれている状況や課題の解決についてアプローチする原田さん。そんな原田さんの目に見えている世界は、どのように映っているのでしょうか。

原田さん メイン画像

実は原田さん、「長崎県FIDバスケットボールチーム」のコーチをしています。「FID」とは、知的障がいのこと。知的障がいを持つ選手たちで構成されたバスケットボールチームです。このチームは、2014年の長崎がんばらんば国体・大会に出場するために発足し、今まで数名の選手との別れ、そして新たな選手との出会いがあったのだとか。

そして、なんと……!

先日開催された、第3回九州FIDバスケットボール選手権大会において、見事優勝を果たしました!

FIDバスケの様子

輝かしい功績を勝ち取った選手たち、そして家族の皆さんの喜ばしい表情が目に浮かびます。しかしもちろん、このチームでバスケを始めた当初は「優勝」の二文字を見ることになるなんて、選手の保護者の皆さんが予想していた訳ではありませんでした。

徐々に、お子さんと周囲の子どもとの違いを感じるようになり、時には感情のコントロールが難しい我が子にどう接したらいいのか分からなくなってしまうこともきっとあったはず。それから月日が経ち、バスケットボールという舞台で輝く我が子の姿を見て、感謝の言葉を原田さんに伝えてくださったのだそうです。

FIDバスケの選手の皆さん

原田さんは、選手たちのそんなストーリーをいくつも見てきたからこそ、「輝いてほしい、輝かせたい……!」という想いに突き動かされます。

新しいメンバーが加わり、事業スタートへ

原田さんの想いに応えるように、新たに立ち上がったGOOOODチームで試行錯誤を重ねる最中のながよ光彩会。

さらにここへ、また新たに自身の好きなことや得意なことを活かせるスタッフが加わりました。

徳永さん プロフィール写真

長崎で障がい者アートコーディネーターとして活動している徳永玲子さんです。

自分自身もパステルアート講師として、またシーグラス作家としても活躍しています。精神科クリニック勤務をきっかけに、障がい者とアートの接点について深く考え始めたそうです。

長崎県の障がい者の芸術文化活動支援をリードする徳永さんが加入したことで、ながよ光彩会の障がい者福祉事業GOOOODは、どのように変化していくのでしょうか。

リーダーの原田さんは、「その人自身の中にも、やってみたい福祉のカタチがあると嬉しい」と語ります。個々が輝きながら楽しんで事業を進められるチームの今後に注目です。

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